とりあえずやってみるかと決めてから二年。
最近、ようやく禁煙に成功した。
もうお酒の場で吸いたくなることも、イライラを誤魔化そうと吸ってしまうこともない。煙草のストックで嵩張っていたバッグの中も自然とすっきりした。
個人的に一番良かったのは喫煙所がなかったらどうしようの不安から解放されたこと。
「ここは喫煙所があるのか?」「ここは席でも吸えるのか?」「席から近いのか?」で気持ちが左右されることがなくなったのはシンプルに嬉しかった。
楽しむにしろ、買い物に行くにしろ、全力で集中することが出来るのはやっぱり気持ちがいい。
禁煙しようと思ったきっかけは「いつまで吸い続けるんだろう」と思ったことだった。
ベランダで煙草を吸っている最中に思うとは思わなかったが、自分が気付いていないだけで、本当は吸って吐いての動作を面倒臭く感じていたのかもしれない。
それに、ずっと吸い続けることに対しての不安もあったと思う。
メリットは気分転換になるだけ、あとは全部デメリット。こんなものを意味もなくひたすら死ぬまで吸い続けて何か良いことがあるのか?自分のためになるのか?煙草よりも自分のために時間を使った方がいいんじゃないか?
色々と考えてしまう。
しかし、不安になったところで時間と健康は戻らない。
それならやめてしまおうと思った。
禁煙にチャレンジした回数は大きく分けて五回。
一回目はただの根性論で半年。
かなり苦しかったのでお勧めしない。
二回目からは「三ヶ月禁煙」の繰り返し。
一回目の禁煙で、禁煙から三ヶ月経つ頃に耐え切れなくなることがわかったので、思い切って三ヶ月が経過したら一旦、好きなだけ吸って良いことにしてみた。
そこに"禁煙中でも三軒目からは吸ってもOK"というルールも追加する。
この無理しない作戦が成功に繋がったと思う。
根性論で半年、無理矢理禁じていたときは、煙草のことを考えない日なんてあり得なかったが、このやり方に変えてからは逆に考えない日がほとんどだった。
三ヶ月経ったら、三件目の飲み屋からはというように、「吸ってもいい」を条件にすると、確実に吸えることがわかっているから考える必要がなくなるのかもしれない。
面白いことに、煙草のことを考えないので、あるときから煙草を吸ってないことにも気付かなかった。
この無理しない作戦はきっぱり禁煙よりも費用と時間がかかってしまうが、ストレス度が低いのでかなりお勧めである。
本当に吸いたくなるのはどんな時なのか、自分の我慢はどのぐらいの期間続くのかを見定めて継続していくだけなのでやりやすいかと思う。
禁煙あるあるの一つ、「食事が美味しく感じられる」をご存じだろうか。
これは禁煙をすると舌の味蕾細胞が復活して本来の味覚に戻ることからきている。
禁煙に成功した人達が口を揃えて言うので半信半疑だったが、このあるあるは本当だった。禁煙前と美味しさは変わらないはずなのに、今はより繊細に味わうことが出来る。
自覚がなかっただけで、私の舌もマヒしていたらしい。
「料理に何を使ったのかもわかるから自分は大丈夫だろう」は通用しなかった。
あと、美味しく感じるのと禁煙のストレスでどうしても食事量が増えてしまうので、禁煙開始と同時に運動を習慣化した方が良い。
最後に。
結果的に成功したが、一発で禁煙に成功したわけじゃない。
何かでイライラしたら580円とライターを握りしめてコンビニに直行したりもした。
ライター代を忘れてコンビニの喫煙所でいつ現れるかわからない知らないおじさん待ち(ライター借りたい)をしていたこともある。
三ヶ月ぶりに吸う煙草がキツくてローソンの前に座り込んでいた日もあった。
一本だけ吸って、残りを水に浸してゴミ箱に捨てるという謎の所業もたくさんしたし、煙草を吸いたくて、残りを捨てたゴミ箱を漁ったこともある。
ゴキブリみたいな行動をしてしまって落ち込む時期もあったが、そこを乗り越えて「煙草がなくても平気なんだ」と気付けたときはその倍凄く嬉しかった。
初めて「なくても平気じゃん」の言葉が好きになった。
体と肌、歯と口臭、住んでいる部屋が綺麗になって、出費が減り、時間が増える。
こんなにメリットがたくさんある断食はなかなかない。